「選挙運動は表現の自由の一つ」未成年者の禁止規定は憲法違反。国賠請求は棄却「声を上げるってすごく勇気がいる」
未成年者の選挙運動を禁止する公職選挙法の規定は憲法に違反するとして、元高校生ら4人が国に対して損害賠償を求めた裁判の決言い渡しが9月25日、東京地裁(衣斐瑞穂裁判長)で開かれた。衣斐裁判長は、表現の自由を定めた憲法に違反するなどとして、違憲判断をした。しかし、原告の請求は棄却した。判決後、原告と弁護団は記者会見を開いた。

東京地裁で「違憲判決」が出された。
選挙権の有無だけでは選挙運動禁止の根拠にはならず
東京地裁102法廷には傍聴人が約40人が席についていた。そんな中で、衣斐裁判長は「棄却」とだけを言い渡し、判決の読み上げはなかった。そのため、原告の訴えが認められなかったのではないかと、一瞬、落胆のムードが漂った。しかし、判決内容を支持者らに伝える「旗出し」では「違憲判決」の文字が示された。支持者からは「おめでとう!」との声が寄せられた。
判決によると、未成年者による選挙活動を禁止する規定は、「選挙の公正の確保とともに、選挙運動に参加することにより生ずるとされる弊害から未成年者を保護することをも目的」とした。しかし、未成年者の選挙運動そのものを否定する理由にはならない。また。「選挙の公正の確保という目的に照らして未成年者の選挙運動の規制が必要となる程度は高いとはいえない」とした。さらに、未成年は選挙権がないものの、選挙権の有無だけで未成年者の選挙運動を禁止する根拠にはならず、弊害があるのなら個別に対応すればいいとした。そのため、選挙運動に対する規制としては憲法21条1項に違反するとした。

東京地裁
*公選法137条 教育者は、学校の児童、生徒及び学生に対する教育上の地位を利用して選挙運動をすることができない。
*同法137条の2 年齢十八年未満の者は、選挙運動をすることができない。
*同法137条の3 選挙権及び被選挙権を有しない者は、選挙運動をすることができない。
一方、罰則規定についても、合理性がないとした。
「選挙運動そのものは社会的非難を受けるべき行為ではない上、未成年の保護を目的とする本件禁止規定の実効性を担保するために、保護の対象とすべき未成年者を本件各制裁規定により処罰することは、およそ合理性を欠く」
また、候補者等が主体となって行う選挙運動に未成年者を使用することの禁止規定については、選挙の公正の確保と未成年者の保護にあるとされ、「それ自体は正当」とした。したがって、「未成年者を保護する観点から、教育者に係る公選法137条の規制による規制に加え、未成年者を選挙運動に使用することを一律に禁止する必要性は高い」などとして、憲法21条1項に違反するとは言えない、とした。
さらに、国家賠償請求については、「未成年者に憲法上保障されている表現の自由を違法に侵害するものであることが明白であったとはいえない」などとして違法性の判断はできないとした。
その後、原告と弁護団は記者会見を開いた。

判決後、記者会見に臨む原告4人と弁護団(撮影:渋井哲也)