「集合場所に来なかった」中1女子死亡、父が語る「当日」〜2018年・名古屋市いじめ自殺(1)
2018年1月5日早朝、学校の部活動の合宿に向かうはずだった中学1年生の少女が、集合場所に姿を見せなかった。家族が行方を案じて自宅を出ると、周囲はすでにパトカーと規制線に囲まれていた。斎藤華子さん(当時13歳)は、その日のうちに死亡が確認された。
父親の信太郎さんは「何が起きているのか分からないまま、すべてが進んでいった」と振り返る。事件当日の朝、家族はどのような状況に置かれていたのか。信太郎さんの証言をもとに、発見までの経緯と当時のやり取りを詳述する。
当日は部活の合宿の予定だったが
華子さんは、学校のソフトテニス部の合宿に参加する予定だった。
前日の夜、華子さんは合宿の準備をしていた。ユニフォームにゼッケンを付けたいと言い、夜遅くまで作業をしていた。特段、変わった様子はなかった。合宿を楽しみにする、ごく普通の中学生の姿だった。
名古屋市役所(撮影:渋井哲也)
夜10時頃、「明日早いから、もう寝るね」。それが父親と交わした最後の言葉だった。翌朝は5時頃に起きる予定だと言い、「起こさなくていい。準備はできているから」と話していたという。家族はそのまま就寝した。異変が起きたのは、翌朝早くのことだった。妻の携帯電話が鳴り、ソフトテニス部の顧問から「集合場所に華子さんが来ていない」との連絡が入った。
当初は「寝坊したのではないか」と考えた。だが、時刻を見るとすでに6時前後。慌てて部屋を確認したが、華子さんの姿はなかった。トイレにもいない。家の中を探しても、どこにも見当たらなかった。合宿用の荷物もなかった。すでに家を出た可能性も考えたが、どうにも腑に落ちない。名古屋に引っ越してきてから日が浅かったこともあり、「道を間違えたのではないか」という考えが頭をよぎった。
何かがおかしいという違和感
学校側とも何度か電話でやり取りをした。教員らも周辺を探したが、華子さんは見つからない。その過程で、家族が認識していた「集合場所」が、実際とは異なっていたことが分かった。本来の集合場所は、自宅から徒歩5分もかからず、家から目視できる距離にあった。
「迷子になる距離ではない」。
その違和感が、次第に不安へと変わっていった。妻と「何かおかしい」「自分たちも探しに行こう」と話し、急いで着替えて外に出た。その瞬間、目に飛び込んできたのは、パトカーと規制線に囲まれた光景だった。直感的に「ただ事ではない」と感じたという。