冤罪か!?「目的のためにプロコトル(手順や条件)を書くのを省略してはダメ」差し戻し控訴審の検察側証人〜足立区医師、術後準強制わいせつ事件②
男性医師が、手術直後の女性患者Aさんの胸を舐めたなどとして準強制わいせつ罪に問われた事件の差し戻し控訴審。争点の一つであるDNA鑑定についての検察側証人が同じ方法で実験をしたことを法廷で述べた。これまでの証拠調べでは、科学捜査研究所(警視庁)が作成した、検査の経過と結果を記録したワークシートは鉛筆書きで、書き換えた痕跡が確認できるだけでも9つあることが指摘されている。
渋井哲也
2024.10.23
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「検査者の手技や温室の変動、機械のコンディションによって検査結果が変わる」
東京都足立区の病院で2016年5月10日、男性医師が、手術直後の女性患者Aさんの胸を舐めたなどとして準強制わいせつ罪に問われ事件について、差し戻し控訴審が東京高裁(斉藤啓昭裁判長)で開かれている。 24年10月9日、東京高裁で2回目の控訴審があり、検察側証人として京都府立医科大学の池谷博教授が出廷。科捜研が鑑定した同じ方法で実験をしたことを説明した。
この事件では、東京地裁は女性の証言の信用がないとして、無罪判決を下したが、控訴審では、証言の信用性を認め、一審の無罪判決を破棄し、懲役2年の判決を言い渡した。最高裁は、証言を裏付ける、被告のDNA量の検査について「信頼性を買い目すべき」として、高裁への指し戻りを命じていた。この裁判は、アミラーゼ鑑定とDNA鑑定の結果の信頼性が争点の一つになっている。
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- 統計学的に見て3人というサンプルは信頼性がない。「偶然性は排除できない」
- 書き換えを9カ所確認「刑事事件なら慎重にしないといけない」
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