【広陵高校の暴行事件】7月に県は「いじめ」と把握していた。しかし、「いじめ重大事態」としての報告はなし。事実確認は継続中
第107回全国高校野球選手権大会は沖縄尚学が(沖縄)日大三(西東京)を破り、初優勝で幕を閉じた。大会では広島県代表・私立広陵高校(広島市)は2回戦を出場辞退という異例の判断をした。理由は25年1月に起きた寮内での2年生(当時)から1年生(当時)への集団暴行事件(不祥事案件)が、被害生徒の保護者と見られるアカウントの投稿によって、SNSで拡散されたためだ。また、その暴行事件とは別の、元部員が監督らに暴力や暴言を受けたとする案件についてもSNSで取り上げられることになった。この案件について学校側は確認できなかった、とした。しかし、批判が殺到したことで、2回戦の出場を決めた。この一連の事件の発端になった、1月の集団暴行事件について、少なくとも7月に広島県学事課に通報があり、把握していたことが、筆者の取材でわかった。
広陵高校によると、事案が発生したのは25年1月22日。広陵高校の寄宿舎内だった。被害生徒は1人。加害生徒は4人。4人の加害生徒が個別に被害生徒の部屋を訪れ、1人が胸を叩く、また別の1人が頬を叩くという暴行をした。別の生徒が腹部を押す行為をし、さらに別の生徒が廊下で被害生徒の胸ぐらを掴んだ。後日、4人は、被害生徒に謝罪した。被害生徒は3月末に転校した。この内容を広島県高野連に報告し、処分を受けている。
しかし、保護者と見られるアカウントによるSN Sの投稿内容とは違っている。それによると、1月23日の早朝、「点呼のときに生徒が寮内にいないことが判明した」とコーチから電話があった。その後、生徒が自宅に帰宅すると、正座をさせられ、10人以上に囲まれて、死ぬほど蹴ってきた。顔も殴ってきたと、保護者に伝えた。生徒が話した内容をメモにし、コーチに連絡した。しばらくすると、ほぼほぼメモの内容と合っている、とのことだった。