【被害生徒保護者インタビュー】いじめ不登校事案の「検証委員会」を設置せず。約束だったが方針変更。内部調査で「問題なし」と伝える。静岡県湖西市
2019年、静岡県湖西市の市立中学校に通う女子生徒が卓球部で集団無視といったいじめを受け、不登校になっていた。この問題では、市いじめ問題調査委員会が調査報告書をまとめたが、その内容をめぐっては、調査のプロセスに疑義があるとして、生徒の保護者が第三者による検証を求めていた。この件について、田内浩之市長は8月14日、「検証や再調査を行わない」と伝えた。これに対して、保護者は市の姿勢に「納得できない」としている。
調査委員会の報告書によると、女子生徒の保護者から、「いじめによる疑いがある不登校」として、調査委の申立てがあったのは2021年4月。それに基づき、調査委員会が設置された。ただし、保護者は、その以前から市教委に対して、調査委の設置を訴えていた。これを受けて、湖西市いじめ問題調査委員会規則を制定し、同年8月4日付けで、公布・施行した。
調査委はいじめを認定。不登校との因果関係も
聞き取り調査は20年3月、複数の教員が分担して行った学校の調査結果を使った。それによると、同じ部活に所属する同級生の一部から「(本人が同じ卓球部の生徒らの輪に)入りにくいと感じさせたかもしれない」「(本人が無視されたように)思ってしまうのは仕方がない」「自分たちにも責任があるのでと思っている」などの回答があった。そのため、本人を「畏怖」させ、本人に対して「距離を置く」ような、何らかの態度や言動があった。この点、「いじめ」に該当する行為はあったと認めた。その上で、いじめと不登校の因果関係があったことも指摘している。
「19年12月20日に、『欠席が30日になったために調査をしてほしい』と言いました。いじめと気がつくきっかけは、中2のゴールデンウィークが明けて1発目に部活行ったら、もう全員が無視。目を合わせない。あのスーッと離れていく。本人が気づきました。その時は『なんか忙しかったのかなぁ』とか言ってて、こっちも『気のせいだ』とかって言ってね。話しかけて答えてくれないじゃなくて、話せない空気になっていました。気がついたらみんな帰ってきたというのです。初めての試合の日に、娘が『横にいて』というので見ていたら、本当にそうでした」(母親、22年3月の取材で)