裁判長は「どちらの足ですか?」「においを嗅いだ?」と質問。事実関係に争いはないが、同意の範囲は曖昧。不同意わいせつが成り立つのか。 SNSの出会いで 東京地裁
性的な行為の同意はあるが、具体的な行為の同意は曖昧な場合、不同意わいせつが成り立つのか。
渋井哲也
2025.12.03
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裁判の傍聴で、裁判長と被告人と、興味深いやりとりがされることがある。そんなやりとりが、性犯罪に関連した裁判のときは、どう解釈すればいいのか、戸惑うこともある。そんな裁判が25年11月、東京地裁であった。裁判は、音声SNSができるアプリで知り合った男の、相手方の女性への不同意わいせつの疑いがある事件だ。事実関係に争いはなく、起訴内容は複雑ではない。
被告人質問があった。被告人の男は女性と音声SNS「GRAVITY」で繋がった。そして、女性が指定した「池袋」で会うことになり、女性が指定したファミレスで食事中、お互いの性体験の話をした。性体験の話は女性の側から話したという。そして、女性は男性経験がないことを話す一方で、男は過去の性経験のこと、足を触ることへのこだわりを話した。男から見れば、女性が性体験の話に興味を示したように感じ、男は「そうしたエッチな体験をしませんか?」と話すと、女性は「いいですよ」と同意した。
東京地裁(撮影:渋井哲也)