「背景調査の指針」12年ぶりの改訂 指導死遺族らが会見、評価と課題を語る。小中高生の自殺者数は過去最多を更新。
小中高生の自殺者は532人(暫定値)で過去最多
警察庁の自殺統計によると、2025年の小中高生の自殺者数は532人(暫定値)だったことがわかった。職業別の統計がある1980年以降で最多になった。小中高生の自殺者数はコロナ禍前から増加傾向で高止まり傾向が続く。特に女性の中高生では増加傾向で、この世代だけ増加が続く。
小中高生の自殺者数は24年が529人で過去最多だったが、それよりも3人増え、最多を更新した。25年(暫定値)の内訳は、小学生10人(5人減)、中学生が170人(7人増)、高校生は352人(1人増)だった。男女別では、男性は255人(16人増)、女性が277人(13人減)。他の世代では男性が多いが、小中高生だけは女性が多くなっている。
そんな中、文部科学省は25年12月、12年ぶりに「子供の自殺が起きたときの背景調査の指針」(版)を見直し、「児童生徒の自殺が起きたときの背景調査の指針」を策定した。遺族への説明が不十分で、調査が長期化していることや、調査内容にばらつきあったことが課題だった。1月末、指針改訂の際に、ヒアリングをされた団体が記者会見を開いた。
詳細調査の実施は1割未満にすぎない
記者会見をしたのは、不適切な指導をきっかけに自殺(指導死)した生徒の遺族らでつくる「安全な生徒指導を考える会」のメンバー三人。「考える会」は23年10月、文科省に「指針」の改訂を要望し、青山周平・文科副大臣(当時)と面談していた。

会見をする「安全な生徒指導を考える会」のメンバー(文科省記者室、撮影:渋井哲也)
その後、文科省は、「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の、22年度から指針の実施状況を調査していた。学校が認知した児童生徒の自殺に関する初期調査である「基本調査」は毎年度、100%実施していた。しかし、その後の「詳細調査」の実施率は22年度が4.6%、23年度が8.1%、24年度が5.6%で、実施率は1割も満たない。
文科省は、こうした現状を踏まえ、「児童生徒の自殺防止に関する調査研究協力者会議」で議論を重ね、「考える会」と「一般社団法人ここから未来」からヒアリングした。またパブリックコメントを実施し、改訂を行なった。その結果、「指針」が25年12月に改訂された。
ちなみに、「考える会」は、「アンケート」を「基本調査」に位置付けるように要望していたが、「指針」では「詳細調査」に位置付けられた。ただし、遺族の希望などで「詳細調査」に先行し、「基本調査」段階でアンケートもできる。
