いじめ事案発生後・拡散で終わりではない学校等の対応。できるだけ客観的、公平中立に調査を
これまでもいじめ関連の動画や音声がSNSや動画サイトで公開され、拡散されることがあった。その拡散によってメディアに取り上げられることもあった。最近ではインフルエンサーを通じて拡散されることも多く、マスメディアによってニュース(記事)となって、行政を動かす事例も出てきている。かつて、新聞や雑誌、テレビが行ってきた手法でもある。ただ、“本番”はその後だ。SNSでの発信やメディアの取材がされた後、つまり、いじめの認知がされた後でも、学校や学校設置者と向き合うことは続く。
① いじめを認定するか
まずは、SNSの発信やメディアの取材によって“案件”が、いじめや犯罪と認知されるかどうかだ。いじめ防止対策推進法の「いじめの定義」がある。
【児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの】(法律上の定義、2013年)
これは、これまでのいじめ事案の教訓から見直しがされ、広く定義をしている。しかし、このいじめの定義が浸透せず、古い定義のまま、学校や教育委員会が対応しているケースもある。
【「①自分より弱い者に対して一方的に、②身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、③相手が深刻な苦痛を感じているもの。なお、 起こった場所は学校の内外を問わない」】(1994年度からの定義、「いじめの定義の変遷」)
ちなみに、2006年度からは、今の定義に近くなっている。
【当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの】(2006年度からの定義、「いじめの定義の変遷」)
難しいのは、けんかやプロレスごっことして扱われるケースだ。国の「いじめ防止基本方針」では一面的に判断すべきではないとしている。実際、プロレスごっことして見逃される場合も出てきている。
【けんかやふざけ合いであっても,見えない所で被害が発生している場合もあるため,背景にある事情の調査を行い、児童生徒の感じる被害性に着目し、いじめに該当するか否かを判断するものとする】(「いじめの防止等のための基本的な方針」p5)
そのため、けんかやふざけ合い(プロレスごっこ等)だったとしても、それだけを持って、いじめに該当しないと判断するのはできない。

いじめ動画が拡散された栃木県立真岡北陵高校
② 教師の行為も対象にできる
また、いじめに教師が関係している場合がある。いじめ防止対策推進法は“教師がいじめをする”ことを想定していない。そのため、正攻法の交渉では、教師のいじめは調査対象外になる。そこで、いじめではないが、教師のいじめを「いじめに類する行為」として、あるいは、近年では「生徒指導提要」の改訂により、してはいけないとなっているため、「不適切な指導」を調査対象にするように交渉することができる。実際に、「いじめに類する行為」や「不適切な指導」がいじめ防止対策推進法での調査に含まれたケースがある。