【参院選2025】「日本人ファースト」は希望か 参院選で自公は過半数割れ。躍進した国民民主と参政党。かつて「希望は戦争。」と著した赤木智弘さんはどう見る?
2025年7月の参議院選挙。結果は、与党が過半数割れ。野党も多党化し、国民民主と参政が躍進したことで、野党第一党の立憲民主の力が相対的に弱まった。日本の政治は不安定化したと言える。こうした政治的な混乱は既存の政治バランスが壊れていく流れの中になる。これは良い面で考えれば、多様な声の反映でもある。しかし、そこにフェイクがあり、非科学的な態度があれば、社会的な混乱を招きかねない。
今は与野党の区切りは明確じゃない
そこで、かつて、月刊誌「論座」(朝日新聞出版、2007年1月)で「『丸山眞男』をひっぱたきたい 31歳フリーター。希望は、戦争。」を執筆し、「若者を見殺しにする国 私を戦争に向かわせるものは何か」(双風舎、2007年11月)を執筆した、赤木智弘さん(50歳)に話を聞いた。

党開票日前日に開かれた参政党のマイク納め(7月19日、東京・芝公園、撮影尾:渋井哲也)
――与党・自公が過半数に届きませんでした。一方で、国民民主と参政が議席を伸ばしました。
赤木 ほぼ思った通りですかね。そんなに予測は外れなかった。参政党と国民民主党が伸ばすんだろうなと思っていましたが、その通りの結果でした。ただ、思ったより自民が減らしたなとは思う。今は与野党の区切りって明確じゃないので、過半数割れそのものはそんなに大きく気になっていなかった。
消費税減税とか、社会保険料の減額という政策の意味
―― 国民民主や参政が伸ばすと思っていたのは、どういう分析だったんすか?
赤木 経済的には(国民生活が)ダメなわけです。そうなってくると、ある意味八つ当たり的な、政治願望みたいなのが露出する。
そもそも今回の参院選の争点が、「外国人に対する排外主義」になる以前から、社会保障に対する対策は、消費税減税とか、社会保険料の減額という話になっていました。それは結局のところ、社会保障に頼ってる人間に対する憎悪そのものだと思う。そうした像が膨れ上がっている状況で、憎悪を持った人は増えてしまうと思っています。その意味で、選挙の争点が排外主義に変わろうが、意外性はなかった。
――再分配に関して、あんまりよく思っていないという感情の人たちが多いということですか?
赤木 特に国民民主は、「現役世代」ということを盛んに言っていますけれども、現役世代というのは誰なのか、どういう人たちに向けた話なのかっていうのを考えると、社会保障を受けるような貧しい人に対する憎悪であると思います。
――「れいわ新選組」が言う廃止っていうのも、それに似ているんですか?
赤木 社会保障を今後どうするかっていう話ほとんど避けている。その消費税というのを、社会保険のその財源の1つになっているところを大きく減らしたとして、それに代わる財源はあるのか。社会保障を今後どうするのかって言った時に、高齢者の健康保険料の負担を1割から3割にするって話が出ています。多分それだけじゃ済まない。そういう話を避けながら、さもその社会保険料だけを減らして手取りが増えるということを言っていたのは、今後社会保障に関するその支出をどんどん減らすということが前提になってるんだろうという感じです。

インタビューを受ける赤木智弘さん(赤木さん提供)
――選挙前に、自公と立民での社会保険制度改革の合意がありました。