冤罪!?被害者の女性の証言とDNA鑑定は信用に足りるか?〜足立区医師、術後準強制わいせつ事件①
足立区医師術後準強制わいせつ事件。この裁判は、Aさんの証言の信用性という主観的な要素のほか、アミラーゼ鑑定とDNA鑑定の結果という客観的な要素を争っている。
渋井哲也
2024.10.16
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足立区医師術後準強制わいせつ事件、最高裁で差し戻し
東京都足立区の病院で2016年5月10日、男性医師が、手術直後の女性患者Aさんの胸を舐めたなどとして準強制わいせつ罪に問われた事件について、差し戻し控訴審が東京高裁(斉藤啓昭裁判長)で開かれている。この事件では、東京地裁は被害者Aさんの証言の信用がないとして、無罪判決を下した。しかし、控訴審では、Aさんの証言の信用性を認め、一審の無罪判決を破棄し、懲役2年の判決を言い渡した。最高裁は、証言を裏付ける、被告のDNA量の検査についても「審理を尽くすべき」として、高裁への指し戻しを命じていた。
足立区医師術後準強制わいせつ事件。この裁判は、Aさんの証言の信用性という主観的な要素のほか、アミラーゼ鑑定とDNA鑑定の結果という客観的な要素を争っている。先日、証拠が捏造されたとして、無罪判決が出た「袴田事件」(1966年6月30日)がある。一度は死刑判決が出たが、再審無罪を勝ち取った。この男性医師が無罪であれば、科学捜査がある現代でも、冤罪がある、として注目を浴びる。
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- 争点の一つは、被害女性患者の証言。術後せん妄の影響下にあったのか
- 「たすけて」などと上司にメッセージ
- 地裁判決“DNA鑑定は、Aさんの証言の信用性を補強しない”
- 高裁判決“Aさんの証言は、犯行の直接証拠として強い証明力がある”
- 最高裁“証人の医師の見解は、医学的に一般的ではない”
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