神戸市内の小学校で児童間の性被害が「いじめ重大事態」に 女児は一時、急性ストレス障害で不登校に

 神戸市内の小学校で児童間による性被害があったとして、市教委では「いじめ重大事態」として調査していることがわかった。市教委ではこの調査を明らかにしていない。
渋井哲也 2025.10.21
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 神戸市立の公立小学校に通う1年生(当時)の女児マミ(仮名)は、同じ学校に通う6年生(当時)の男児のタク(仮名)から性被害を受け、「いじめ重大事態」として調査がされていることが、保護者以外の、事情を知る複数の関係者への取材で分かった。筆者は、市教委に対して公文書開示請求をしたが、文書の存在を明らかにしていない。しかし、関係者によると、被害にあった女児は急性ストレス障害となり、一時期不登校になった。タクが卒業をした現在では、マミは登校をしている。

 関係者から入手した資料などによると、1年生のマミが6年生のタクからいじめを受けていたことがわかった。3年前の春、マミが母親に「学校へ行きたくない」と言い出した。理由を言わない。1ヶ月ほど経つと、遅刻を何度かしていた。泣き叫びながら、ウェストのゴムを引っ張り、ゴムと体の間に手を入れたまま、玄関で「行きたくない」と泣き出した。マミはなかなか理由を言わなかったが、小さな声で、「タクちゃんからお股とお尻を触られる」と言った内容を話した。そしてマミは一時期、不登校になった。

「触っていい?」「内緒にしといて」と加害側の児童

 1年生と6年生でどんな接点があったのか。マミとタクはもともと知り合いではなかった。しかし、学校では異学年の交流を行っているため、そこで知り合いになり、よく遊んでいた。そのことを保護者にも話していた。新興住宅地内に建っている学校で、死角も多い。そのため、4〜5回、陰部などを触られるようなことがあったという。マミは、タクから「触っていい?」とか、「内緒にしといてね」とも言われたこともあったという。このことを教職員は把握していなかった。

 また、実は、マミは母親に話をする前に、仲の良かった女の子Aに、タクに触られることを相談していた。そのAが、Aの母親に話したところ、「それはしたらあかんこと」「その子の人生が変わること」「されていることをすぐお母さんに言ったほうがいいよ」と言った。そのことをAがマミに伝えた。

男児は触ったことは認めたが、わいせつ目的を否定

 その後、両親とも学校へ向かうことになった。学校側は担任らが同席し、被害を訴えた。そのため、学校側はタクに確認をした。最初は触ったことを否定したが、その後、触ったことは認めた。しかし、わいせつ目的は否定したという。マミは学校を休むようになっていた一方で、タクは登校をしていた。ただし、学校の記録によると、継続的な指導をしたという記録はない。関係機関に伝えたことも記録はない。この件に関係した教職員は、タクの卒業後、異動となった。

 学校では、証言内容から、マミが被害にあった内容を話していたこと自体の信用性は高いと判断した。ただし、一部の内容については、確認できていないとした。その後、マミは、3学期まで不登校になった。2年生からは、タクが卒業したこともあってか、学校へ通えている。

 発覚後、マミは当初は目がうつろで、描いた絵も黒を使うことが多かった。夜眠れないことがあったり、怖い夢を見て眠れないこともあった。一人で寝るのは怖いと言ったりしていた。大人の顔面をグーで殴ることもあった。しかし、ケアをされていくうちに、自分の思いを口にするようになった。

性暴力被害の「手引き」を参考にしたか?

 ちなみに、この事件は、大きな問題としては報道されていない。マミの訴えは一貫していたものの、タクの供述の変遷はあったことや、学校では「いじめの疑い」として扱われていたためもある。また、小学校や市教委は、保護者説明会など、地域への説明はしていない。

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