いじめに関しての担任の指導は「非違行為に当たらない」。茨城県取手市女子中学生自殺に関連しての懲戒処分は取り消し 東京高裁

茨城県内の中学校に通う中3年の女子生徒が自殺した問題に関連して、県は当時の担任教諭が適切な対応をとらなかったなどとして停職の懲戒処分とした。これに対し、教諭は処分の取り消しを求め、水戸地裁に提訴した。判決では取り消しを認めた。東京高裁判決でも、一審と同様、処分の取り消しを認めた。
渋井哲也 2024.11.07
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 2015年11月に茨城県取手市の市立中3年の女子生徒が自殺した。茨城県は知事部局の下で設置した調査委員会は、いじめとの因果関係を認めた。県は当時の担任教諭が適切な対応をとらなかったなどとして停職の懲戒処分とした。これに対し、教諭は処分の取り消しを求め、水戸地裁に提訴した。判決では取り消しを認めた。茨城県が控訴したが、東京高裁(増田稔裁判長)は10月31日、一審同様に控訴を棄却した。

 県側の控訴が棄却されたのは、十分な証拠を出していななかったためだ。調査報告書は、事実的因果関係のみを考察するものが一般的であり、裁判上の証拠としては的確ではない。そのため、法的に争う場合は、報告書を作成するにあたって使用した資料を「的確な証拠」として提出されなければならない。しかし、なぜ、県側は「証拠」を出さなかったのか。

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続きは、2404文字あります。
  • 県「殺の引き金となる不適切な指導をした」と停職処分
  • 処分理由になった行為「裏付ける証拠はない」。高裁では「本件処分は事由を欠く違法なもの」
  • 「自殺の理由を特定することは困難」いじめとの関係を認めず
  • 教諭の夫「今までよく耐えてきた」
  • 県教委のコメント

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