「目が覚めなければいい」両親は新教宗教の信者。変わり者としていじめられていた 8月にネット心中した少年の背景②

 インターネットの自殺系サイトで、心中相手を探していた義紀(仮名、18)だ。彼とは一度だけ東京・新宿で会った。それだけだが、相当に入念な計画をしていたことがわかった。もし生きていたら、また会おうと言って別れる。そして高速バスで帰って行った。なぜ、そこまでの想いに至ったのか。彼を偲ぶために、当時の取材を振り返る。
渋井哲也 2024.08.03
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両親ともに新興宗教の信者。近所に遊び友達はいない

 新宿駅西口交番前で義紀と待ち合わせた。痩せ型で身長は160センチ台に見える。服装はラフだ。喫茶店でコーヒーを頼み、話をすることになった。義紀はなぜ「死にたい」と思うようになったのか。

 義紀は中国地方の農村で生まれた。その農村で、誰もが知る新興宗教を信じる両親に育てられた。父親は以前から宗教そのものに興味があり、母親は親類がその新興宗教の会員だった。宗教を信じる環境に置かれていた。今の言葉で言えば、「宗教2世」だが、当時は、そうした言葉は一般的ではない。ただし、両親が共に宗教を信じているということは、偏狭な考え方の中で育てられたことをイメージできた。

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  • 小学校からはいじめを受ける。
  • 両親はいじめがあっても何もしない。「聖書を持ち出されても納得いくわけない」

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